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2018/11/26

【51項目水質検査セット】なぜ水道法以外のシーンでも多く用いられるのですか?

【51項目水質検査セット】なぜ水道法以外のシーンでも多く用いられるのですか?

わたしたちが毎日飲む水は安全な水質でなければいけません。その水質を調べる水質検査セットにはいろいろありますが、その中でも最も多くの検査項目を調べるセットである51項目検査セットについて解説します。


51項目検査は水道法に使われているセットですが、法的なシーン以外でも広く用いられています。たとえば飲食店で使う飲料水、庭の井戸水、ウォーターサーバーで提供する水の検査などです。
ではなぜ、これらのシーンで広く用いられるか、検査会社が解説します。


51項目料金問い合わせフォーム




目次


  • 「義務があるから行う」だけでなく「義務はないけど行う」場合もある
  • 51項目検査の法的義務があるケース
  • 水道施設の概念図と51項目検査のタイミング
  • 51項目検査が使われるシーン
  • 自宅の井戸(ご家庭で初めて井戸の水を飲用に使う場合など)
  • ウォーターサーバー会社
  • 特定建築物所有者、設備会社、ビルメンテナンス会社
  • 貯水槽点検
  • 飲食店
  • 51項目水質検査の料金問い合わせフォーム
  • 水道事業とは
    • 水道事業
    • 貯水槽水道

    「義務があるから行う」だけでなく「義務はないけど行う」場合もある


    本来51項目水質検査は、水道水の厳しい水質基準に対応した検査セット。
    水道水はたくさんの人の健康に直結するため、水道法という法律で厳格にその処理工程や管理方法が決められています。それゆえ、汎用的に行われる水質検査の中で最も詳しいところまで分かる水質検査セットです。

    たとえばこの検査では、トリハロメタン、マグネシウムの量、pHなどが分かります。また、微生物が作り出すジェオスミン(ゲオスミン)や2-メチルイソボルネオールという物質は、水の臭みや不満の原因物質ですが、これも51項目検査なら調べることができます。


    そのため、水道法に直接関係のない分野でも、安心のため、あるいは営業的メリットのため、51項目検査セットが用いられています。たとえば飲食店で使う飲料水、庭の井戸水、ウォーターサーバーで提供する水の検査などです。使う水の安心を詳しいところまで調べたい、販売する水の売りになる部分を調べたい、などのシーンで51項目が活躍します。「義務があるから行う」だけでなく、「義務はないけど行う」場合もあるということです。


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    ここでは、51項目検査を検討している方向けに、具体的な検査内容や検査シーンを解説します。まず「義務があるから行う」(法律的義務があるから行う)場合について解説し、51項目検査の意義を掴んでいただければと思います。

    51項目検査の法的義務があるケース

    皆さんが毎日飲む水道水。その水道水には、環境省によって厳しい水質基準が定められています。その基準をクリアしないと、水道水を皆さんに供給することはできません。その水質基準は水道法という法律によって、「人の健康に対する悪影響(急性および慢性)を生じさせない」、「異常な臭味や洗濯物の着色など生活利用上の障害をきたさない」などの観点から設定されています。その観点を満たしているか調べることができる検査が51項目検査になります。


    法律的に51項目検査の実施が義務づけられているのは水道事業者です。地方自治体の水道課や水道局が関係してくるところです。また水道法では、事業として営まれる水道のほかに、一定規模以上の人が飲用等に使用する施設に対しても規制を行っています。たとえばショッピングセンターや病院、工場、学校、ビルなどで専用水道に該当する施設も対象となります。たくさんの人が日々、水を利用する施設の事業者に51項目検査の義務があります。

    「水道事業」について詳しい説明はこのページの一番下の「まめ知識」で説明しています。


    ここまで水道に関わる法律で51項目検査が行われるシーンを見てきました。では、この51項目検査は、水道を供給する過程の、どのタイミングで実施されるのでしょうか?

    水道施設の概念図と51項目検査のタイミング


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    上の図は、川や地下から取水された水が上水処理されて給水管で運ばれ、皆さんの家の蛇口から出てくる様子を示した図です。51項目の検査は最後の供給直前のステップで行われます。


    つまり、51項目検査は、作られた水道水が皆さんに利用されるすぐ直前で行われる大事な検査であることが分かります。このような法律に規定された工程によって、皆さんが水道水を利用する上で、健康に悪影響(急性および慢性)を生じず、かつ、異常な臭味や洗濯物への着色など生活利用上問題が起きないようになっています(ちなみに日本の水道技術は世界トップレベルと言われています)。

    51項目検査が使われるシーン

    では次に、「義務がないけど行う」シーン、すなわち水道水以外のシーンで51項目検査がどのように使われているか解説していきます。

    自宅の井戸(ご家庭で初めて井戸の水を飲用に使う場合など)

    自治体によって指針、マニュアルが決められています。
    たとえば千葉県だと以下のように井戸を新設したときには51項目検査を勧めています。
    井戸を新たに設置した時は、水質基準の全項目(51項目)の水質検査を行い、安全を確認してから飲用しましょう。なお、塩素消毒を実施していない場合等は消毒副生成物と臭気物質を省略することができます。


    出典:千葉県「井戸水を飲用する皆様へ(リーフレット)」

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    ウォーターサーバー会社

    ウォーターサーバーを設置や水の販売をしている会社は、定期的に販売する水の分析をしていますが、その検査に51項目を採用していたり、51項目検査に加えて、さらに多くの検査を定期的に検査していることがあります。水源が違えば、水の特徴も様々。安全な水を提供し、商品である水にどんな特色やメリットがあるかを調べるために、51項目検査を行っているようです。


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    特定建築物所有者、設備会社、ビルメンテナンス会社

    ビル管理法に基づく水質検査項目にて、ビルや学校、店舗、事務所など特定建築物を新たに建設したとき、地下水を水源に使用している場合は給水設備を使用する前に、51項目の検査を行うことがあります。

    また、水源が井戸の場合には周囲の環境が大きく変化した場合に、51項目検査が行われることがあります。


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    貯水槽点検

    貯水槽点検でも51項目検査が行われる場合があります。


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    飲食店

    新たに営業許可を申請する時は食品衛生法食品製造用水基準である26項目検査が必要です。それとは別に、商品である食べ物や料理の、味への影響、風味への影響を知りたいというニーズから51項目検査を行う場合があります。51項目でその地域の水の特性を把握しておきたいという経営者もいらっしゃるようです。


    ※51項目検査には、26項目検査に含まれる過マンガン酸カリウム消費量、有機リン、大腸菌群が含まれないため、届出、営業許可に使用できない場合があります。51項目検査でも届け出が通るかどうかあらかじめ各自治体に確認が必要です(自治体によっては51項目検査で通る場合もあります)。


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    51項目水質検査の料金問い合わせフォーム


    「水道法」に基づく検査(専用水道設置者等の水道事業者様が自ら供給する水の検査、法定検査)の場合、地域によって弊社で対応できない場合がございますので、あらかじめご了承下さい。


    水道事業とは

    水道事業とは、不特定の需要者に対して、その申し込みに応じて、水道により水を供給する事業。原則として、市町村が経営するものです。

    水道事業は以下の4つに分類されます。


    1 水道事業(水道法第3条第2項)

    • 上水道事業(水道法第3条第2項)
    • 簡易水道事業(水道法第3条第3項)

    2 水道用水供給事業(水道法第3条第4項)


    3 専用水道(水道法第3条第6項)


    4 貯水槽水道(水道法第14条第2項第5号)

    • 簡易専用水道(水道法第3条第7項)
    • 小規模貯水槽水道(対象外)

    これらの4つの水道事業者に対して、定義や管理方法などが以下のとおり設定されています。

    水道事業

    • いわゆる水道のことです。正確な定義は「不特定の需要者に対して、その申込みに応じて、水道により水を供給する事業。原則として、市町村が経営するもの」。
    • そのうち、計画給水人口が5000人以下である場合、簡易水道事業と呼びます。
    • 計画給水人口が100人以下である場合、小規模な水道事業として、水道法上の「水道事業」からは除かれます。
    • 水道事業については、地方公共団体が条例で規制しています。

    【メモ】

    水道水の水質検査、検査頻度は、安全を守りながらも現場に即した特例措置もあります。たとえば、51項目検査が3ヶ月に1度が原則ですが、一部の水質項目は過去3年間の水質検査結果が水質基準値の1/5以下だったり、1/10以下だったすると、検査頻度は1年に1度、3年に1度に軽減されます。また、過去の検査結果が水質基準値の1/2を超えたことがなく、原水、水源、その周辺の状況、薬品及び資材の使用状況を十分考慮できる場合、たとえば3年間など省略できる検査項目もあります。


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    専用水道

    • 一般に、病院の寄宿舎・工場内の社宅・住宅団地・学校・観光施設等で、自家用に使用するか、何らかの理由で供給者と需要者の関係が特定している水道で、次のいずれかに該当するもの。
    • 居住者が100人を超えるもの。
    • 人の飲用等に使用する給水量が1日最大20㎥を超えるもの。
    • 水源としては、地下水・河川水等独自のものや、水道事業者からの水道水、またその両方などがあります。

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    貯水槽水道

    • 貯水槽水道とは、ビル、マンション、学校などの建物で市から供給される水を一旦受水槽に受けたのち利用者に給水する施設の総称です。
    • 貯水槽水道は、受水槽の有効容量によって2種類に分類されます。
    • 受水槽の有効容量が「10㎥を超える」ものは簡易専用水道に該当し、水道法で適切な管理が義務付けられています。「10㎥以下」のものは、小規模貯水槽水道に該当し、法の適応は受けません。

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